発達障害
発達障害という言葉を耳にすることが増えて来たと感じています。
発達障害と一言で言っても、個人差があるので全く同じ症状ではありません。
大きくは自閉スペクトラム症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害に分かれており、「何かを成し遂げるために必要な機能」に障害があると考えられています。
一つのタイプの特徴が目立つ事もあれば、併存する事もあります。また、子供の頃には症状に気づかず、大人になって社会生活を送るようになってから、周りとうまくいかずに発達障害だと診断される人もいます。その人の持った特性を、本人やご家族・周りの人が理解し、その人に合った支援を受けながら、自分らしく生きていくことが大切です。
症状
子供の場合
目が合わない、一人遊びが多い、他の子どもに興味を示さない、集団行動が苦手、会話がつながらない、自分の好きなことへは熱中する、じっとしていられない、順番を待てない、人の話を最後まで聞けない など
大人の場合
人と違う気がする、他人とうまくコミュニケーションが取れない、整理整頓ができない、時間が守れない、仕事のミスが多い など

自閉スペクトラム症

自閉スペクトラム症は、「人との親密な関わりが苦手で人と一緒に楽しむ事への関心が低い」「感情表現が乏しく、言葉のキャッチボールが苦手」「こだわりが強い」「触覚や嗅覚などの感覚が過敏」などの特徴があります。これらは強弱もありますし、個人の持って生まれた能力(知的能力)によっても知らず知らずに自己対処していて周囲からわかりづらいこともあります。また、環境によっては社会にでた時に不適応を起こし気づかれることもあります。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)

ADHDは、3つのタイプに分類されています。
落ち着きがなく、授業中にじっと席に座れない、カッとなりやすいなど周囲から目立つものは多動性・衝動性型です。ADHDは約5:1で男の子に多いとされます。多動性・衝動性型は男の子に多く、不注意型は女の子に多い傾向があります。不注意型は忘れ物、無くし物が多い、集中力が続かないため特に国語の文章を最後まで読むことができない、漢字が苦手などがあります。症状が目立たないため、気づかれにくい側面があります。混合型はどちらの特徴も有しているタイプで8割を占めていると言われています。

学習障害

学習障害は、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる発達障害のことです。読字障害、書字障害、算数障害に分かれています。合併しやすいものに発達性運動協調障害があります。これは縄跳び、跳び箱など大きな運動が苦手なタイプと靴紐を結ぶ、ボタンを止めるなどの微細な運動が苦手なタイプとに分かれています。

・読字障害は、ひらがなの音読が遅く、読み間違える、文のあらすじの説明が難しいタイプ
・書字障害は文字のバランスが悪い、鏡文字になる、板書が極端に遅い、助詞をうまく使えないタイプ
・算数障害は、数の概念が身につかない、計算、文章題を解くことが難しいタイプというものがあります。

これらは最近はアイパットやパソコンをうまく活用したり、放課後等デイなど療育の増加、薬物療法の選択肢の増加もあり、活用すれば改善し、生活しやすくなっていると感じています。
大事なことは、これらは怠けではないということです。
叱責が多くなる傾向にあり、長期に渡ると二次障害を引き起こします。
二次障害は、抑うつ的になるか周囲に影響するような行動をとるかどちらかにわかれます。お子さんでは、反抗的な態度をとるようになり、癇癪を起こしやすくなったり、万引き等の行動にエスカレートすることもあります。また、注意されないように何回も確認行為をしないと落ち着かない、少ししたことで不安が強くなる、気分が落ち込み、学校に行きたくなくなる、周囲に不信感を抱くようになり情緒的な安定が保てないなどの症状が見られるようになります。
二次障害を予防するには、状態を理解し、叱責を減らし、褒められる体験を増やしていく必要があります。対応を一つご紹介しますが、して欲しくない行動をし続ける場合、どうするのか。例えばよくある「ゲームをやめない場合」を例にすると、感情的に叱るのではなく、「壊れたレコードのように淡々と言い続ける(ブロークン レコード テクニック)」ようにしてください。「もうおわりだよ。」を淡々とやめるまで言います。”やめたらすかさずほめる”ことが大事です。怒ることが多いと感じたら、自分はロボットだと言い聞かせながら是非挑戦してみてください。