うつ病
私たちは生きていく上で、さまざまなストレスや苦悩を感じています。辛いな・・と気持ちが落ち込んで立ち直れないと感じることもあるかもしれません。そのような感情は誰にでも起こりうることですが、憂うつな気分、何に対してもやる気が出ないなどの抑うつ状態が1日中・長い期間続いている場合、うつ病の可能性があります。そのような気持ちが続くと、自分はダメな人間と感じて、考えることも、人と話すこともできなくなり、生活していくことが困難になってしまいます。
まずは、今まで頑張ってきた心と体を休めることが大切です。ご本人、必要であればご家族に、病気に対しての理解をしていただきながら、治療を始めます。適切な薬物療法と、再発を繰り返さないよう環境調整・心理療法を中心にじっくりと向き合っていきます。
症状
憂うつな気分が続く、何をしても楽しくない、何もやる気が起きない、自分を責めてしまう、涙がすぐ出てくる、考える力が湧かない、眠れない、食欲がない、胸がドキドキする、頭痛、吐き気や嘔吐、体がだるい など

当院でのうつ病の治療

治療には、休養、精神療法、薬物療法などがあります。 うつ病の状態を説明するのにイメージしやすいよう充電式電池に例えてお話を進めます。
充電式電池は、ご存知の通り使えば使うほど消耗しますし、充電すればたまります。心(以下、エネルギーと表現します)も同じようなイメージを持っていただけると良いかと思います。
通常の状態:日常生活では少なからずストレスや疲れがあり、残りエネルギー量が7、8割となるが、趣味や休息でリフレッシュして9割以上に充電でき、また活動できる
うつ状態:ストレスが続いて残量が5、6割に減り、十分な充電時間が取れずにエネルギー量が7、8割辺りをウロウロしている状態が続いている(ある程度活動できる量が残っている状態)
うつ病:エネルギー量が減り続け、残量が半分以下になり、通常の休息では充電不可能になった状態(通常の日常生活が送れなくなってくる)
(イメージしやすいように数値化はあくまでも目安です)
うつ病の段階までいくと、日常の充電方法では回復が困難です。消耗を止め、充電に徹する必要があります。ストレスがかかる活動を一旦休み、休養すること。そして、充電期間を少しでも短くするために精神療法、薬物療法があると思ってもらって良いと思います。
当院では段階によって薬を使い分けています。 うつ状態の場合、どうにかストレスに立ち向かって現状を乗り切りたいという方もいらっしゃるので、漢方で不安や抑うつを和らげることや場合によっては抗うつ薬を使用することもあります。 うつ病の状態であれば、積極的に休息を勧め、少しでもきつい期間が短縮されるよう抗うつ薬を勧めます。
個人で環境が異なりますので、その中でどのように回復を目指すか一緒に考えていければと思っています。 以下に、うつに関連して普段の生活で気をつける事として、食事に関して記載しています。

うつ病とトリプトファン

うつ病に関して、症状や対処法、お薬など今は検索すると情報がたくさんあるかと思いますので、今回食事から摂取できるうつに関係する「トリプトファン」に関してお話をしたいと思います。
うつ病が起こるメカニズムはまだ明らかになっていませんが、いくつかの仮説があります。その一つが、脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が不足し、情報がスムーズに伝わらないのではないかというものです。
そこで、セロトニンはどのように作られるのか。その材料が「トリプトファン」です。「トリプトファン」はたんぱく質を構成するアミノ酸です。アミノ酸は必須アミノ酸と非必須アミノ酸の2タイプがあります。
食事によって摂取された「トリプトファン」は、血液で脳まで運ばれます。
炭水化物やビタミンB6の手助けがあって、セロトニンに合成されます。
(脳内にたどり着くのに、炭水化物を摂取した時に分泌されるインスリンがトリプトファンの濃度を高める手伝いをしています。)
うつ病とトリプトファン

トリプトファンを含む食材

動物性食品
チーズ、カツオ、マグロ、レバー、ロース、イワシなど
植物性食品
大豆、ごま、カシューナッツ、ひまわり、ピーナッツ、干し椎茸、くるみ、アーモンドなど
ビタミンB6
ニンニク、ピスタチオ、ひまわりの種、ひよこ豆、ごまなど
朝に「トリプトファン」「ビタミンB6」「炭水化物」を食べてセロトニンを作りましょう!
セロトニンは夜間にメラトニンになります。睡眠に大切なホルモンです。